岐阜地方裁判所 昭和23年(ワ)165号・昭23年(ワ)166号・昭23年(ワ)164号 判決
原告 高橋保之助
被告 柳原良男 外八名
一、主 文
被告柳原は原告に対し岐阜市柳ケ瀬通り三丁目二十四番宅地の内十九坪一合(別紙図面<省略>(イ)、(ロ)、(ハ)、(ヌ)、(イ)点を連結する地域)をその地上に存在する木造瓦葺二階建店舗住家建坪十三坪三合二階坪九坪及び木造瓦葺平家建物置建坪五坪四合を収去して明け渡せ。
被告笹本は原告に対し同番宅地の内十九坪五合五勺(別紙図面(ヌ)、(ニ)、(ホ)、(リ)、(ヌ)点を連結する地域)をその地上に存在する木造亜鉛板葺平家建店舗建坪十坪一勺、木造瓦葺二階建住家建坪五坪二階坪五坪及び木造亜鉛板葺平家建炊事場建坪四坪二合を収去して明け渡せ。
被告富田静香、同富田美恵子、同富田泰弘、同可児泰子、同可児二三子は原告に対し同番宅地の内十九坪一合八勺(別紙図面(リ)、(ヘ)、(ト)、(チ)、(リ)点を連結する地域)をその地上に存在する木造瓦葺平家建店舗住宅建坪十坪八合、木造杉皮葺平家建物置建坪五坪三合及び木造トタン葺小屋建坪三合二勺を収去して明け渡し、被告武藤は右木造瓦葺平家建店舗住宅建坪十坪八合のうち店舗部分より、被告堀は右三棟の建物のうち右店舗部分を除くその余の部分より退去せよ。
訴訟費用は被告等の負担とする。
二、事 実
原告訴訟代理人は主文と同旨の判決並びに仮執行の宣言を求め、その請求の原因として、原告は昭和二十年七月十一日被告柳原に対し岐阜市柳ケ瀬通り三丁目二十四番宅地十九坪一合(別紙図面(イ)(ロ)(ハ)(ヌ)(イ)を連結する地域)を、被告笹本に対し同番地の内十九坪五合五勺(別紙図面(ヌ)(ニ)(ホ)(リ)(ヌ)を連結する地域)を、訴外亡富田浄一に対し同番地の内十九坪一合八勺(別紙図面(リ)(ヘ)(ト)(チ)(リ)を連結する地域)を、(1) その地上に建てる建物は木造平家バラツク建一時的仮住宅に限る、(2) 賃貸期間は昭和二十年七月十一日から三年、(3) 賃料は被告柳原については一月金百五円五銭、被告笹本については一月金百七円五十二銭、訴外富田浄一については一月金百五円四十九銭、(4) 賃借地に前記種類構造以外の建物等を築造しようとするとき、賃借地上の建物を増築改築大修繕をしようとするとき、賃借地を他人に転貸し又賃借権を譲渡しようとするとき等には予め原告の承諾を得た上でこれをなすべきこと、(5) 将来賃借人が右賃借地上に本建築をする場合には公正証書をもつて契約した上でこれを為すこと、(6) 被告等が右条項に違背したときは原告は通知催告を要せず本契約を解除することができることを約定して賃貸し、昭和二十一年一月十六日その趣旨の公正証書を作成した。原告家においては明治十九年父の代から本件土地とその隣地上において高橋屋の屋号で旅館営業をしてきたものであるから、昭和二十年七月九日岐阜市戦災後も、いずれはこの家業である旅館営業を再開したいと念願していたので、本件土地を他人に貸す意思は毛頭なかつたのであるが、前記被告等三名から全く一時的でよいから何とか貸してもらえないかとの懇願を受けたので特に建物は前記の如くバラツクに限り、賃貸借期間は昭和二十年七月十一日から三年と定めて一時使用のため賃貸したのである。その後被告柳原はその賃借地上に木造平家建板張りバラツク建家屋を建築したが、昭和二十一年五月頃原告に対し雨漏がして困るから修繕がしたいと申し出たので原告は「小修繕ならよいが、但し期限に明けてもらうことにまちがいないか」と念を押したところ絶対にまちがいないと確約したので同年五月三十一日その趣旨の誓約書を差し入れさせ、修繕に同意したのであるが、被告柳原は同年六月下旬約旨に反して当初のバラツクを取りはらい壁付の本建築である木造瓦葺二階建店舗住家建坪十三坪三合二階坪九坪を建築し、且つ右賃借地上に木造瓦葺平家建物置建坪五坪四合を建て現在居住しており、被告笹本はその賃借地上に当初約定のようなバラツクを建てたが、昭和二十二年夏頃原告の承諾もなく右バラツクを改修して木造亜鉛板葺平家建店舗建坪十坪一勺とし、なおその裏に二階建の本建築である木造瓦葺二階建住家建坪五坪二階坪五坪を建築し、更に木造亜鉛板葺平家建炊事場建坪四坪二合を増築し現在居住しており、亡富田浄一は約旨に反して本建築である木造瓦葺平家建店舗住宅建坪十坪八合及び木造杉皮葺平家建物置建坪五坪三合、木造トタン葺小屋建坪三合二勺を建てた。而して右浄一は昭和二十二年十月八日死亡し同人の子被告富田静香、被告富田美恵子、被告富田泰弘、被告可児泰子及びその妻被告可児二三子が相続に因り浄一の権利義務を承継し、被告武藤は右木造瓦葺平家建店舗住宅建坪十坪八合の内店舗の部分を使用して万年筆販売業を営み、被告堀は右建物の内店舗を除いた部分及び前記木造杉皮葺平家建物置建坪五坪三合、木造トタン葺小屋建坪三合二勺を使用居住しているものである。依て本件宅地の賃貸借は昭和二十三年七月十一日で期間満了し賃貸借終了したため以後被告等は本件土地を占有すべき何等の権原もないから茲に被告等に対し前記建物の収去土地明渡並びに退去を求める。仮に右賃貸借が終了していないとすれば、被告柳原、被告笹本及び富田浄一は前述のように本件賃貸借の契約条項に反して目的以外の建物を建設してしまつたので、原告は被告柳原に対しては昭和二十一年七月頃、被告笹本に対しては昭和二十二年九月頃、訴外亡富田浄一に対しては昭和二十一年一月頃各契約違反による賃貸借契約解除の意思表示をし、更に念のため本訴において各被告等に対し契約解除の意思表示をした。依て以後被告等は本件土地を占有すべき何等の権原もないから被告等に対し前記建物の収去土地明渡並びに退去を求めるため本訴に及んだと陳述し、被告抗弁事実を否認し、原告は昭和二十二年五月十九日被告柳原、同笹本及び富田浄一に対し夫々契約更新拒絶の通知を発したと述べた。<立証省略>
被告等訴訟代理人は「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする」との判決を求め、その答弁として、原告主張事実中被告柳原同笹本及び訴外亡富田浄一が夫々原告より岐阜市柳ケ瀬通り三丁目二十四番宅地の内原告主張の地域を、その主張のような約定で借り受け、昭和二十一年一月十六日その趣旨の公正証書を作成したこと、被告柳原がその賃借地上に当初木造平家建板張りバラツクを建築し、その後昭和二十一年五月頃之を取り毀ち壁付の本建築である木造瓦葺二階建店舗住宅建坪十三坪三合二階坪九坪を建築し、且つ右賃借地上に木造瓦葺平家建物置建坪五坪四合を建築し居住していること、被告笹本がその賃借地上に原告主張の三棟の建物を建築し之に居住し、右三棟の中二階建住家は昭和二十二年夏頃平家建店舗の裏に建築した本建築のものであること、訴外亡富田浄一がその賃借地上に原告主張の三棟の建物を建築し、原告主張日時右浄一の死亡により被告静香、同美恵子、同泰弘、同泰子が相続によりその賃借人たる地位を承継して原告主張の建物を共同所有し右地域を共同占有し、被告武藤、同堀が右建物を原告主張のように占有していることは認めるが、その他の事実は否認する。前記賃貸借契約が締結されたのは被告柳原と原告間においては昭和二十年九月末頃、被告笹本と原告間においては同年十月中頃、亡富田浄一と原告間においては同年九月頃であり、右賃貸借は何れも一時使用のためのものではない。右賃貸借契約において賃貸借期間三年の定めのあるのは地代改訂期間を定めたものに過ぎない。仮に地代改訂期間でなく賃貸借期間を定めたものであるとすれば、右公正証書第二条但書に規定する通り賃貸借期間満了の場合建物存在するときは賃借人において契約更新の請求することができることを約定したので、之に基き被告柳原は昭和二十二年七月二十五日、被告笹本は同年八月十八日、被告静香等は被告武藤が代理して昭和二十三年六月初旬夫々契約更新の請求をし、なお右期間満了の際各被告から原告に対し調停を申立てその期日において契約更新の意思表示をしたから、三年の賃貸借期間は更新され、いまだ前記賃貸借は終了していない。被告柳原については仮に契約の更新が認められないとしても昭和二十一年六月五日前記本建築をするにつき、その建築につき原告の承諾を得たからこの時従前の契約は効力を失い新に借地法の適用を受ける賃貸借が設定されたものとみるべきであるにより借地法の規定により未だ期間終了せず、且つ本建築につき原告の承諾を得たから前記契約条項にも違反しない。被告笹本は昭和二十二年夏頃前記二階建住家の建築については原告の承諾を得たから右契約条項に違反しない。仮に承諾がなかつたとしても、原告は本件宅地を建物所有の目的をもつて賃貸したものであるから賃借地内の空地にこれが建築をしたことをもつて宅地の明渡を求めるのは権利の濫用である。亡富田浄一は当初から現状の通りの建物を建てたものであつて何等増築改築大修繕をしていないから前記契約条項に違反していないと述べた。<立証省略>
当裁判所は職権で検証(二回)をし、証人柳原はま(三回)原告(四回)被告笹本[光廣](四回)被告武藤種順(三回)の各本人尋問をした。
三、理 由
原告が被告柳原、被告笹本及び亡富田浄一に対し夫々岐阜市柳ケ瀬通り三丁目二十四番宅地の内原告主張の地域を、その主張の通りの約定で賃貸し、昭和二十一年一月十六日その趣旨の公正証書を作成したことは当事者間に争いがない。而して原告と被告等間との右賃貸借契約成立の日は証人柳原はまの証言(二、三回)、被告笹本、同武藤の各本人尋問の結果(笹本二、四回、武藤三回)によれば、原告と被告柳原との間においては昭和二十年九月頃、被告笹本との間においては同年十月頃、訴外富田浄一との間においては同年九月であることを認めることができ、之に牴触する原告本人尋問の結果(一、二、四回)は措信しがたい。
原告は右各賃貸は借地法第九条に所謂一時使用を目的とするものであると主張するにつき按ずるに、成立に争いのない甲第一号証の一乃至三の記載、証人原重男の証言、原告本人尋問の結果(一乃至四回)を綜合すれば、原告の先代は本件宅地上に建設してあつた建物を使用して明治十九年頃から大正八年頃まで「高橋屋」の屋号で旅館業を営んでいたのであるが、その後廃業し、右建物を訴外堀栄吉等に賃貸していたところ昭和二十年七月九日岐阜市の戦災により焼失し、右堀栄吉等は賃借権を放棄したから原告は旅館用諸道具をなお所持していたので再び右土地において旅館業を営みたいと考えたが、資金不足等のため直に着手できない状態であつたので二、三年後に始めたいと思つていた。かかる際被告等が相前後して右土地の賃借りを申し入れたので原告は右事情を述べて拒絶したが、被告等は一時的でよいから貸して貰いたいと懇願したためその趣旨で特に期間を昭和二十年七月十一日から三年間と定め、短期間内に明渡を受ける必要上賃貸土地上に建築すべき建物も木造平家バラツク建一時的仮住宅に限定して賃貸し、なお賃借人が賃貸人の承諾を得ずに賃借地に右種類構造以外の建物を建築したり、賃借地上の建物を増築改築大修繕をしたときは賃貸人において直ちに賃貸借契約を解除することができることを特約したこと、被告柳原同笹本及び訴外富田浄一が本件宅地上に右賃貸当初建設した建物はいずれも木造平家バラツク建仮設建物であつたことを認めることができ、右認定に反する証人柳原はま(一乃至三回)の証言並びに被告笹本(一、三、四回)同武藤(一乃至三回)の各本人尋問の結果は措信しがたい。尤も甲第一号証の一乃至三の本件土地賃貸借公正証書正本によればその第二条に賃借人は契約の更新を請求することができる旨の記載があるが同条によれば期間満了の際建物が存在するときに限ること明かであり、しかも右建物は前記の通り一時的の仮建築物であるから、一時的の仮建築物の朽廃に至るまでの長からざる期間内において更新請求を認める趣旨と解すべきであつて、右契約更新の規定が存在することを以て右賃貸借が一時使用のためのものでないと言うことはできない。その他右認定を左右するに足る証拠はない。依て本件宅地の賃貸借は借地法第九条に所謂一時使用のためのものであると言うべきである。
被告等は本件賃貸借の期間を三年と約定したのは地代改訂期間と解すべきであると言うが、右認定の如く本件賃貸借が一時使用のためのものであること、前記甲第一号証の一乃至三の公正証書正本の記載によればその第十四条に地代改訂の際は双方の協議でなさるべき旨明記してあることに徴すれば右三年の期間は賃貸借期間と解すべきであつて、地代改訂の期間とみるべきではない。右期間は地代据置期間の定めであつたと言う証人柳原はまの証言(一乃至三回)、被告笹本本人尋問の結果(一乃至四回)は措信しない。
被告等は右期間満了の際公正証書第二条但書の趣旨に基き契約更新の請求をしたから未だ本件賃貸借は終了していないと主張するので考察するに賃借人が期間満了の際契約の更新を請求することのできる約定のあつたことは前記認定の通りで、成立に争いのない甲第三号証の一、二、乙第三号証、第五号証の記載によれば被告柳原が昭和二十二年七月二十五日、被告笹本が同年八月十八日夫々原告に対し契約更新の請求をなしたこと、原告が同年五月十九日被告柳原及び笹本に対し契約更新拒絶の通知をしたことは明かであるが、被告静香等については契約更新の申入れをした事実を認める何等の証拠もない。依て、被告柳原、笹本について同人等の契約更新の請求に対して原告は自由に之を拒絶することができるかどうかを考えてみるに、前記甲第一号証の一、二の公正証書正本の第二条但書には「期間満了の際建物存在するときは賃借人は契約の更新を請求することを得べし」との記載があるだけであるが、之を以て賃貸人たる原告は被告等賃借人の契約更新の請求を自由に拒むことができるであろうか。借地法における賃借人の契約更新の請求に対しては賃貸人において自由に拒否することができるのであるが、之を拒否するときは賃借人は賃貸人に対し建物の買取を請求することができるのである。然しながら本件における如く、一時使用のための賃貸借においては借地法の適用を受けないため賃借人に何等買取請求権の存しないところからみて賃貸人において更新請求を自由に拒否できる旨の特約のない限りは、仮令正当の事由がなければ更新請求を拒むことができない旨の約定がなくとも賃貸人は自由に更新請求を拒むことができず賃貸人において賃借人の契約の更新請求を拒むには正当の事由のあることを要するものと解すべきである。勿論その正当事由は賃貸借が一時使用のためのものであることの本質に鑑み、借家法第一条の二に所謂正当事由ある場合に比し、もつと広く解されるべきであり、本件について言えば原告が本件土地を自ら使用する必要がある場合、原告との契約条項に違反し原告に無断で一時的仮建築物を耐久力のある建物に改築したり、かかる建物を新築したりした場合、賃貸人の承諾を得ても当初の賃貸期間内に明け渡すことを特約して耐久的建物に改築した場合等は賃貸人において賃借人の契約更新を拒否する正当の事由ある場合に該当するものと言うことができるであろう。原告本人尋問の結果(一、三、四回)によれば原告は前記の通り予て本件土地において自ら旅館業を再開したいと念願していたところ今や之を実行する時期に至つた外、被告笹本は昭和二十二年夏頃その賃借地上に原告の承諾を得ないで木造瓦葺二階建住家建坪五坪二階坪五坪の本建築を建築し、被告柳原は昭和二十一年五月頃当初の賃貸期限内に明け渡すことを誓約して原告の承諾の下に木造瓦葺二階建店舗住家建坪十三坪三合二階坪九坪の本建築を建築したことを認めることができ、之に反する被告笹本本人尋問の結果(一乃至四回)は措信できない。以上の事情の下においては原告は被告等の契約更新の請求を拒否すべき正当の事由があるものと解すべきである。従て前記賃貸借契約は更新の効力を発生せず終了したものと言うべきである。
被告柳原は昭和二十一年五月頃本建築をなす際にその建築申請書に地主である原告の承諾印を得たから、その時より借地法の適用を受ける賃貸借が設定されたと主張するのであるが、成立に争いのない甲第二号証、乙第二号証の各記載並びに原告本人尋問(一、三、四回)の結果を綜合すると、被告柳原は昭和二十一年五月頃原告に対し当初建てたバラツクが狭いし雨漏れがして困るから修繕して建て増したいと述べ、建築許可申請書に原告の承諾の捺印を求めたので、原告は「賃貸期間も残すところ二年余しかないから折角多大の費用を出して建てても直ぐ立ち退いて貰わねばならないことになつて無駄になるから今のままで辛棒してくれ」と答えて、捺印を拒絶したが被告柳原は「建てさせて貰えれば二年のうちに建てた費用位儲け出す自信があり期限が来れば必ず立ち退くから捺印して貰いたい」と懇願したので原告は地主において必要なときは無条件で移転又は撤去する旨の書面を差し入れさせた上で建築届に捺印したものであることが認められ、右認定に反する証人柳原はま(二回)の証言は措信できない。右認定の事実によると原告は被告柳原が本建築をすることに同意したのではあるが、之により一時使用のための賃貸借であることを解消したのではなく、相変らず一時使用の賃貸借の性質の下において本建築をなすことを承諾したものと認めるべきであつて、本建築届に承諾の捺印したことを以て直ちに借地法の適用を受ける賃貸借契約が締結されたものと言うことはできない。
以上により原告と被告等との前記賃貸借契約はすべて昭和二十三年七月十一日三年の賃貸借期間満了により終了したと断ずべきである。
而して被告柳原が前記賃借地域上に木造瓦葺二階建店舗住宅建坪十三坪三合、二階坪九坪及び木造瓦葺平家建物置建坪五坪四合を所有し之に居住して右地域を占有していること、被告笹本が前記賃借地域上に原告主張の建物三棟を所有し之に居住して右地域を占有していること、訴外亡富田浄一が前記賃借地域上に原告主張の建物三棟を所有していたところ原告主張日時同人の死亡により被告静香、同美恵子、同泰弘、同泰子が相続によりその賃借人たる地位を承継し右建物を共同所有し右地域を共同占有していること、被告武藤、同堀が右建物の中原告主張の部分を占有していることは当事者間に争いがなく、成立に争いのない甲第六号証の記載によれば被告二三子は右浄一の妻であつて浄一の死亡により被告静香等と共同相続したことが明かであるから被告二三子も右建物を被告静香等と共同所有して右地域を共同占有しているものと言うべきである。
依て爾余の点について判断するを待たず、被告柳原は原告主張の地域をその地上に存在する原告主張の建物二棟を収去して明け渡し、被告笹本は原告主張の地域をその地上に存在する原告主張の建物三棟を収去して明け渡し、被告静香、同美恵子、同泰弘、同泰子、同二三子は原告主張の地域をその地上に存在する建物三棟を収去して明け渡し、被告武藤、同堀は夫々原告主張の建物の部分より退去すべき義務があるから之を求める原告の本訴請求を正当として認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条第九十三条を適用し、仮執行の宣言については之を却下して主文の通り判決する。
(裁判官 伊藤淳吉)